お好み焼きブログ

広島のお好み焼きについてのブログです

広島のお好み焼きと「広島焼き」との違い

広島のお好み焼きと「広島焼き」が、別の料理、別の種類の食べ物だということを詳しく説明します。
 
広島のお好み焼きのことを、略してそう呼ぶのだと勘違いされている方が、たくさんいらっしゃいますが、広島焼き”というのは、実は全く違う食べモノのことです。さて、どんな食べモノなのでしょうか。

 

 

 【広島のホンモノのお好み焼き】

広島のお好み焼きは、全国のお好み焼きとは少し違う特徴があります。
 
1.一枚一枚、丸い生地から焼く。生地の上に野菜・肉を載せる
2.上下をひっくり返して生地の下で野菜を蒸し焼きにする
3.完成品の主成分は小麦粉ではなく、キャベツとそば
4.一食の食事程度の栄養価とボリュームがある 600円~1200円
5.原則お店の鉄板で食べる。またはお皿で食べる
 広島焼き比較2.jpg
 
この動画が分かりやすいです。
 
広島以外の地域でも、広島のお好み焼きの焼き方で作ったものを食べることができるお店が多くあります。そういうお店では、メニューや店外看板に「広島お好み」、「広島風お好み焼き」と書かれているか、または関西風と間違えないようにオレンジ色のオタフクソースののぼりとともに「お好み焼き」と書かれています。これは、関西地域も例外ではありません。ちゃんと広島のお好み焼きを食べることができる大部分のお店では、そのようになさっています。
 
しかし、残念ながら、メニューや看板に’広島焼き’などと書かれているような店もあります。そういう店では、おそらく店主が、’広島焼き’という食べ物がどんなものか知らないのでしょう。知ってたら書けないと思います。また、肝心な広島の「お好み」がどんなものかも知らずに作っているのでしょう。注文したら、大阪風のお好み焼きにそばを入れたものや、広島風の薄い生地の下に大阪風の混ぜ焼きを重ねたものが出てくるような話を聞きます。
 
広島のお好み焼きは、略して「お好み」と言います。広島では、日常会話で普通に「お好み食べに行こうや」と言います。他の地方から広島に引っ越して来た人が広島をよく知るには、まず「お好み」をたくさん食べるんよ、と、こう言われます。「お好み」の存在は、こどものおやつのようなものではありません。広島では子どもからお年寄りまで、学生さんも社長さんも大学教授も、どんな人でも食事として食べています。小さい頃から、家族や友達と一緒に何度も食べ、生まれながらに日常使っている「お好み」という言葉には色々な思い出があります。このように、広島の人にとって「お好み焼き」も、「お好み」という言葉も普通に日常生活のなかにあり、食生活や食文化に深ーく根付いています。
 
ところで、阪神甲子園球場阪神球場と略す人はいませんよね。それは、名前の中の「甲子園」という部分が特に大事だからです。これと同じように、広島の「お好み焼き」は、上に書いている通り「お好み」という言葉が特に大事です。
 
広島のお好み焼きにとって、「お好み」という所は、とーっても、とーっても大切です。ですから、どうかこの部分を消して呼称するのはやめてくださいね。
 
 
 

 【広島焼きなる食べモノ】

1.鉄板のおおきさ目一杯使って生地を焼き、後で四角い形に切り分ける
2.完成品の主成分は、鉄板に引いた生地
3.基本的に生地と野菜のみ(そば、肉が入っているのはめずらしい)
4.たこ焼きと同程度のボリューム 300円~500円程度
5.トレーで持ち帰り

という特徴があります。

 広島焼き比較1.jpg
 
 
この記事の写真もとても分かりやすいです。特に生地にご注目下さい。広島のお好み焼きの生地はとても薄いのが特徴ですが、”広島焼き”なるモノは分厚い生地が主成分で、そこにキャベツが入り込んでいます。
 
 
この写真ですが、別に、数ある広島焼き店の中から少数派を探し出したわけではありません。関西の縁日や花見、観光地などの露天屋台が出店している場所には、これと同じような’広島焼き’の屋台が、必ず、たくさんあります。関西で露店が出るようなイベントに行けば、わざわざ探さなくてもみつけられますので、ここに書いてあることが本当か確かめたい方は、どうぞ足を運んで実際に見てください。
 
ちなみに、大阪造幣局桜の通り抜けでずらりと並ぶ屋台には5軒に1軒くらいの割合でありました。わたしはびっくりしたと同時に、関西の方からはすごく愛されている食べモノなんだなぁ、と感じました。まぁ、名前にはセンスがありませんが。
 
この食べモノ、あたりまえですが「広島では食べることはできません」。広島でも繁華街に屋台がたくさん並ぶ祭りがありますが、こういう屋台はありません。まあ、売っても売れないでしょうけど。
 
広島の人は、関西でこの屋台を見ても、食べたり買ったり寄ったりしないんじゃないでしょうか。いや、ありません。絶対にありません。ありえません。理由は、味とかソースの話もありますが、まず「お好み」は屋台で買う物じゃなく、お好み焼き屋で食べるものなんです。広島の食文化では。
 
 
ところでこの、”広島焼き”というのを焼く鉄板ですが、端が少しだけ高くなっているフライパン型なんですね。思い切り厚い生地になるように、小麦粉の生地を鉄板いっぱいに流しこんでも溢れないようになっているんです。広島では見ることのない鉄板ですね。この生地の上に野菜を乗せて四角に切り分けひっくり返すんです。イメージ的には、穴のないところでたこ焼きを焼いている感じですね。
 
ちなみに、「お好み焼き」を焼く鉄板は、広島でも大阪でもまっ平らなので、この鉄板はおそらくこれを焼くために特別に端が高い鉄板が鋳造されているのだと思われます。いやぁ、関西ってすごいですね。
 
 
つまりこの食べモノは、製法、販売法、使われている鉄板、材料、広島人からの好かれ方など、どの方向から見ても広島の食文化ではなく、関西の食文化だということが、よく分かります。あ、断っておきますが悪いと言ってるんじゃないですよ。単に、「関西の食文化」と言ってるだけですから勘違いしないでね。
 
 
 
 
長くなりましたので、’広島焼き’という食べモノのことを短くまとめます。
 
1.関西地区で、関西の食文化、関西の屋台文化のなかで生まれ、広島の人の食文化には合いませんが、関西地区ではとても愛されている食べモノです。
 
2.広島で「お好み」と呼ばれ親しまれ食べられているお好み焼きとは、違う食べ物です。’広島焼き’は、島風お好み焼きではありませんので、勘違いされないようにお願いします。
 
ところで、この’広島焼き’という単語が、関西以外にひとり歩きしていて、広島のお好み焼きのことを、略してそう呼ぶのだと勘違いされている方が、全国にたくさんいらっしゃいます。広島焼きとはどんな食べモノか、正しい理解をよろしくお願いします。
 
 
以上で、’広島焼き’なる食品の解説を終わります。
 
 
 
 
・・・・・いや、むしろこの’広島焼き’っての、関西で愛さている、広島では受け入れられない食べ物なんだもの。どう考えても、関西風のお好み焼きですよね。そう、イタリアンスパや印度カレーやトルコライスが日本風の料理であるように、広島焼きは関西風お好み焼きです。
 
でも、名前のセンスがイマイチです。なので、どうか関西の諸君、もっとセンスの良い名前に変えてください。